|
高速炉で問題となる冷却材中への気泡混入のうち、流れによって液面の一部が盛上がりその周囲で生じる気泡巻込み現象について、巻込みの有無に関係する因子を実験により求めた。ビデオカメラとパ-ソナルコンピュ-タを連結した画像処理システムが完成し、液面形状とともに液面近傍の流速が測定可能となった。その測定結果から、予想と異なり巻込みの有無は流下流速及び角度だけで決まるのではなくフロ-パタ-ン全体に影響されることがわかった。盛上がった液面に沿って流下する流れは液面から離れて潜り込むわけではなく、かなり減速されるものの水平液面部もある流速を持つ。容器幅が小さいとこの減速の程度が大きく、より低い流下流速でも気泡を生成・巻込む。一方流下角度はこの体系では流下速度と強く関係しているので、完全に独立なパラメ-タではない。気泡巻込みの有無の決定因子として巻込み部の局所流速と容器横幅の2つが重要なことが新たに明らかとなった。なお気泡巻込み発生条件をそこの局所量だけで表すにはもう少し研究が必要である。この実験と並行して自由液面を扱える2次元乱流数値解析コ-ドを開発した。またコ-ドの検証を完全2次元体系に変更したテストセクション内流れのフロ-パタ-ン、流速分布、液面形状を用いて行った。本コ-ドにより、気泡巻込みを生じるような不連続性のある液面形状を有した流れについても、フロ-パタ-ン等はよい精度で計算することが可能となった。気泡巻込み発生条件を巻込み部の局所量だけで記述できなかったため、コ-ドの計算結果から巻込みの有無を予測できるようにすることは今後の課題に残されている。
|
