研究課題/領域番号 |
63470016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂田 祥光 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60029874)
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研究分担者 |
三角 荘一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (40029830)
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キーワード | 光誘起電子移動 / 光合成初期過程 / 発色団相対配置 / 光合成モデル化合物 / 電荷分離 / 蛍光寿命 / 電子移動速度 / ポルフィリン |
研究概要 |
植物の行なっている光合成を人工的に達成することは人類の長い間の夢であるが、現在に到るまでそれは実現されていない。その原因は生体での機能発現の機構が功妙かつ複雑であり、加えて当該部分の生体試料を純粋に得ることが難しいなどによるためである。そこで本研究では生体系に近い低分子量の分子集合体を合成し、それらの光化学的諸性質を生体系と対比させながら詳しく解析することにより、生体系における電荷分離機能の本質を探り、得られた結果を基にして人工光合成用の最適分子を設計し、これらの分子触媒を用いて光エネルギ-の化学および電気エネルギ-等への変換の可能性を探り、併せてこの様な材料を開発することを目的とした。本年度においては光エネルギ-変換のための分子触媒の設計に必要な「電子移動を効率良く起し、しかも逆電子移動の少ない安定な電荷分離状態を達成するための発色団間の相対配置」を決定するために、ポルフィリン環とキノン環とをスピロ〔4.4〕ノナンおよびトランスデカリンの二種の堅固なスペ-サ-を用いて連結した。この二種のポルフィリン-キノン化合物においては両発色団間の距離はほゞ等しく、しかも両発色団を結んでいる最短の結合数も同じである。大きく異なるのは両発色団の相対配置のみである。両化合物の蛍光寿命を測定して光誘起電子移動の速度を見積ったところ、スピロ骨格をスペ-サ-に用いた化合物の方が電子移動速度は5倍速かった。上記の様に二つの化合物で構造的に大きく異なるのは発色団の相対配置のみであり、したがってこの差は発色団の相対配置の差に帰すことが出来る。以上の様に、発色団の相対配置の違いによって電子移動速度の異なることが初めて実証された。
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