研究概要 |
1.二座配位子(Martinリガンド)を用いて高周期典型金属(スズ、アンチモン、ビスマスなど)の超原子価化合物を合成した。さらにこれにリチウムやグリニャ-ル試薬を作用してア-ト錯体(12-Sb-6,12-Bi-6)を調製してそれらの高配位化合物の構造と反応性について研究した。 1)アンチモンの超原子価化合物(10-Sb-5)とア-ト錯体(12-Sb-6):10-Sb-5型スチボランとしては非常に安定であったが、塩化スルフリルや臭素により容易にモノハロゲン化物に変換された。ア-ト錯体の位置異性化反応の詳細な機構を明らかにするとともに、そのプロトン化反応による置換基の脱離能力を定量的に決定した。 2)ビスマスの超原子価化合物(10-Bi-5)とア-ト錯体(12-Bi-6):安定な10-Bi-5型化合物を合成して、そのハロゲノリシスの反応機構を明らかにした。ア-ト錯体の異性化機構を解明した。 3)スズのア-ト錯体(10-Sn-5)の合成と反応性:二環性の安定なスズア-ト錯体を合成して、そのスペクトルの検討により構造を決定した。 2.新しく三座配位子を考案してアンチモンやビスマスを含む8員環アゾシン誘導体を合成した。その1、5渡環相互作用に起因した超原子価相互作用および総合生成について調査した。アミノ基の関与による典型元素の周りの幾何配置と反応性についても検討した。 1)アゾシン系化合物の合成と反応:渡環相互作用がアンチモン上の置換基の電子求引性が増加するにつれて大きくなることをNMRスペクトルの化学シフトのHammettプロットにより明らかにした。5価の有機アチンモン化合物の構造がハロゲンの種類により変化することを見い出した。これと関連してアザビスモシンでの還元的脱離反応を研究した。 2)ジフェノ-ルアミン誘導体を三座配位子とする超原子価化合物の合成および構造と反応性の関係について研究した。
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