研究概要 |
1.希望する組成のガラスを入手可能な状態にすることが本研究では不可欠であったが、シバソン株式会社において何時でも試作してもらえ、そのガラスの切断、研磨も直ちに行えるような状態になった。 2.表面付近の陽イオンが容易に水素置換されると思われる20Na_20・6CaO・XAl_2O_3・(74ーX)SiO_2,X=0,1,2,5mol%の組成のガラスを用いて、(1)水素置換、(2)HーD交換、(3)水素の陽イオン再置換、(4)陽イオン再置換のHーD交換に及ぼす影響、について種々の条件下で調べた。1、2、3の反応速度はアルミナの含有量と密接な関係があることが示され、また、これらの反応は活性化エネルギ-の異なる複数の機構で進行することが知れた。そして、種々の希望する特性を有するガラスを製作し得る可能性が強くなった。なお、4による表面改質には成功することができなかった。 3.D化ガラスのH置換による気相中水分のモニタ-は、一般には感度が高すぎる。特殊な環境中では超高感度モニタ-が可能となろうが、測定までに普通の部屋の空気に触れさせてはならない。ガラス中のナトリウムの水素置換は、適当な軟質ガラスを用いれば、土壌水のモニタ-に有望な反応であるとの結果が出た。土壌水中の陽イオンのモニタ-にHの陽イオン置換を用いるのもかなり有望であることが知れた。 4.モニタ-の現場実験は遅れてしまって、実施するに至らなかった。中国ウルムチの生物、土壌、砂漠研究所より近日中に実施に関する来信があるはずであり、本年の夏に当地へ行く可能性も高い。 5.初めの計画より遅れたが、現在、重要なポイントとその研究法が明白になった。今後、ガラスのアニ-ル条件を制御して再現性を向上させながら、この研究を継続する。また、H置換ガラスにたいする種々な表面改質法の展開にも勤める。
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