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1989 年度 実績報告書

高機能性金属錯体による生体関連物質(糖質、アミノ酸類縁体)の反応制御

研究課題

研究課題/領域番号 63470035
研究機関奈良女子大学

研究代表者

矢野 重信  奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)

研究分担者 佐藤 光史  国立科学博物館, 理工学研究部, 研究員 (10154105)
キーワード反応制御 / 金属錯体 / 糖質 / アミノ酸前駆体 / 変換
研究概要

前年度の研究に引き続き、本年度は以下のような研究を行った。
1.糖質変換反応、および糖質の分子識別機能を有する金属錯体の探索を行った。その結果、Nー置換ジアミンとの組み合わせではNi^<2+>イオンの他にCo^<2+>イオンならびにCa^<2+>が有効であることが判明した。特にCa^<2+>イオンの場合は簡単なモノアミンでもC2エピメリ化が進行する。
2.上記の研究で見い出したCo^<2+>およびCa^<2+>の系における糖質変換反応を同位体標識したアルド-ス(D-Glc,D-Man)ならびに重水素化溶媒を用いて、NMRスペクトルにより検討した。その結果、いずれの場合も、Ni^<2+>の場合と同様に立体特異的な炭素骨格の転移を伴う珍しいC2エピメリ化であることが明らかとなった。また、Ca^<2+>の系ではエピメリ化と共にケト-スへの異性化が進行する。この場合は炭素骨格の転移は起こらないが、通常の塩基によるエンージオ-ル転移とともに分子内水素移行という、大変珍しい二種類の異性化の経路があることを見いだした。
3.グリシンの前駆体であるαーアミノマロン酸と、エチレンジアミンを配位子とするCo(III)錯体との反応を、反応条件を変えて詳細に検討した。反応機構についてはESRスペクトルを、また生成物については電子吸収、NMRスペクトル、およびX線結晶構造解析により検討した。その結果、反応雰囲気および溶媒の選択により、α-アミノマロン酸は酸化的脱炭酸反応によるグリシナト錯体、配位ジアミンのN原子との結合によるα-ジアミン型錯体、あるいはカルビノ-ルアミン型錯体の生成経路の制御が可能であることが判明した。
4.先に見いだしたNi^<2+>ーNー置換ジアミンの系による、アルド-スのC2エピメリ化反応を、二糖類のアルド-ス末端の変換に応用した。その結果、(1ー6)結合の二糖のみが変換されることが、明らかとなった。さらに、新規に合成された糖の構造を二次元NMRによって解明した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 石田勝昭: "Synthesis and Characterization of Cobalt(III)Complexes Containing an N-Glycoside Derived from Ethylendiamine and Aldose.Conformation Analysis of the Sugar Units by Means of Semiempirical AMI Calculations" J.Am.Chem.Soc.111. 1599-1604 (1989)

  • [文献書誌] 矢野重信: "金属イオンとアミンの協同効果による糖質の集積と変換" 日本化学会誌. 769-783 (1989)

  • [文献書誌] 石田勝昭: "Isotopic Multiplets in the Carbon-13 Nuclear Magnetic Resonance Spectra Due to Partial Deuteriation of Co-ordinated NH_2 and NH Groups of Cobalt(III)Complexes Containing an N-Glycoside.Importance of Sugar Ring Oxygen Atoms in the Long-range Isotope Shifts" J.Chem.Soc.DALTON TRANS. 1241-1247 (1989)

  • [文献書誌] 小島隆彦: "Synthesis and Characterization of Cobalt(III)Complexes Containing α-Diamine and Carbinolamine Derived from α-Aminomalonate and Ethylenediamine" Inorg.Chem.29. 446-450 (1990)

  • [文献書誌] 武居共之: "C-2 Epimerization of Aldoses by the Cooperative Effects of Co^<2+> Ions N-Substituted Diamines"

  • [文献書誌] 武居共之: "Transformation of Oligosaccharides by the Combinations of Metal Ions and Amines"

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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