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1988 年度 実績報告書

還元的脱離反応におけるモデル錯体触媒の合成と機能

研究課題

研究課題/領域番号 63470040
研究機関大阪市立大学

研究代表者

中村 幸雄  大阪市立大学, 理学部, 助教授 (20047012)

キーワードπ-アリル錯体 / メチル錯体 / パラジウム(II)錯体 / アリルアルキルカップリング反応 / モデル錯体触媒
研究概要

1.[Pd_2(μ-Cl)_2(π-allyl)_2]の塩素架橋を3級ホスフィンPR_3で切断し、次いでMeliによりメチル化して目的のπ-アリル(メチル)パラジウム錯体[(π-allyl)Pd(Me)(PR_3)]を高収率に得た。
2.1で得られた錯体のIR、MSおよび^1H、^<13>C-NMRを測定し、その構造を決定した。MSでは3つの特徴的なフラグメントをPd(allyl)L^+>PdL^+<(PdL-1)^+の強度比で検出した。最後のものはメチルラジカルとプロペン分子が共に分子イオンから追い出されたものに相当し、その錯体がアリルアルキルカップリング生成物であるノーブテンに優先してメチル基を失い、その後Pd(allyl)L^+のアリル基が配位ホスフィンから水素ラジカルを引き抜いてプロペンを遊離させることが判った。
3.固体および溶液中で熱分解を試み、発生気体をガスクロ定量した結果、主生成物はノーブテンではなくエタンであることが判明した。この分解経路はホスフィンの解離により生じたメチル架橋のπ-アリルパラジウムニ核錯体からエタンが分子間的に還元的脱離し、アリル架橋パラジウム(I)二核錯体が生成するとして説明した。
4.熱分解におけるホスフィンおよびアルテンの添加効果を調べた結果、ホスフィン添加では発生ガス中のノーブテンが約50%に、また、無水マレイン酸では約90%に増量するが、分解率は尚50%以下に届まることが判った。
5.錯体合成の別法としてホスフィンによる塩素架橋切断より先に、MeLiでメチル化する方法も検討し、良い結果を得た。その際中間体として生成するメチル架橋二核錯体にビス(ジフェニルホスフィン)メタン(dppm)を反応させたところ、予期に反して新しいPd(I)の四核クラスター[Pd_2(μ-Cl)(μ-allyl)]_2(μ-dppm)_2を生成することが、X線結晶解析により明らかにされた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Yoshihito Hayashi: The Journal of The Chemical Society,ChemicalCommunications. 403-404 (1988)

  • [文献書誌] Yoshihito Hayashi: The Journal of The Chemical Society,Dalton Transactions,. (1989)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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