研究概要 |
(1)国際学術研究「ブラジルのアルカリ複合岩体に見られる希土類鉱物、放射性鉱物の調査研究(代表者:床次正安)」により採集した試料のうち、1)炭酸塩質マグマとアルカリ岩との接触変成を示す鉱物組識など、構成鉱物の組成と組識の記載を中心とする研究を光学顕微鏡・走査型電顕などを用いて行なった。高温であった炭酸塩質マグマとジャクピランガイト(パイロキシナイト)との接触した境界では輝石は蛇文石に変質し、温度勾配に垂直になるように炭酸塩と蛇文石が互相し、次第にそれらの幅が狭くなる。2)カ-ボナタイト・アルカリ複合岩体では、アルカリ金属、アルカリ土類金属イオンは、炭酸塩のみならず透輝石などの珪酸塩、ペロブスカイトのほか酸化物からも著しく溶脱する。この二次的鉱物に変質して行く過程を観際し、その鉱物組識を解析した。3)希土類元素は、その風化に伴い、rhabdophane,crandallite,goyaziteなどの燐酸塩に著しく濃集する。 (2)カ-ボナタイト、アルカリ岩に見られるような微細な鉱物組識、構成鉱物の固定には、光学顕微鏡・走査型電顕などで観察した試料に対し非破壊で結晶学的デ-タを獲得する必要がある。将来、この研究をさらに発展させるため、本年度はとくに微小領域でのX線回折法の確立を試み、単結晶回折計に類似のω、χ、φ3軸による試料方位の制御を可能とするハ-ドウエアとソフトウエアの開発、デ-タ解析のためのソフトウエアの開発を行なった。結果として、5〜10μm程度の結晶であれば、格子定数の決定や結晶の方位に解析を行なうことを可能とした。今後は更に結晶の配向に関する2次元的観察・解析を容易にする方法に発展させる予定である。 (3)カ-ボナタイト・アルカリ複合岩体の鉱物に加え、マントル物質として重要であると考えられているスピネル関連珪酸塩鉱物の結晶構造に関する研究を併せて行なった。
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