研究課題/領域番号 |
63470049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 善一郎 大阪大学, 工学部, 教授 (80028969)
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研究分担者 |
田中 敏宏 大阪大学, 工学部, 助手 (10179773)
喜多 善史 大阪大学, 工学部, 助手 (80029115)
飯田 孝道 大阪大学, 工学部, 助教授 (70029247)
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キーワード | 鉄合金 / ニオブ窒化物 / X線回折 / 高温 / 結晶構造 / 非化学量論化合物 / サブラティスモデル / 相平衡 |
研究概要 |
溶融鉄合金における溶質成分の窒化物生成反応の平衡に関する従来の研究においては、生成・平衡する窒化物の構造および組成は凝固試料から抽出した窒化物のX線回折および化学分析により決定されており、得られた結果は高温で溶融鉄合金と平衡する窒化物のものとは異なる可能性がある。そこで本研究においては、まず従来から熱力学的な検討が行われており、窒化物の構造について異説が提案されている、溶融FeーNbーN系合金を取り上げ、高温でこの溶融合金と平衡するニオブ窒化物の構造を、高温X線回折により直接決定した。 すなわち、窒素圧0.2×10^5〜1.0×10^5Paの下で、1813Kにおいて溶融Feー(10〜20mass%)NbーN合金の表面にニオブ窒化物を生成・平衡させて高温X線回折を行い、この結果、生成・平衡するニオブ窒化物は従来Evansらが提案している正方晶構造のγ相(NbN_<0.75>)ではなく、fcc構造をもつδ相として存在することを確認した。 また、この窒化物の組成を調べるために、sublattice subregular modelに基づいて溶融FeーNbーN合金とニオブ窒化物との平衡について熱力学的解析を行い、この結果、上記条件の下で溶融FeーNbーN合金と平衡するニオブ窒化物の組成は、NbN_<0.81>(P_<N〓>=0.2×10^5Pa)からNbN_<0.87>(P_<N〓>=1.0×10^5Pa)まで窒素圧とともに連続的に変化すると推定した。 これらの結果から判断すると、詳細な熱力学的検討においては上述のニオブ窒化物の非化学量論的組成を考慮しなければならないが、実操業に応用するといった巨視的な立場よりニオブ窒化物の生成平衡を考察する場合には、近似的には、化学量論的組成のNbNが生成すると考えて取り扱うことも可能であると考えられている。 これらの成果は既に学会誌(Trans.JIM)等に公表した。
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