試薬を用いて、化学組成の異なる3種類の4成分系カルシウムフェライトを合成し、そのCOーCO_2混合ガスによる還元経路および還元平衡を調べ、以下のような結果を得た。 1.精密電気天秤を使用した熱天秤を用いて還元実験を行い、4成分系カルシウムフェライトの還元の中間生成物の同定をX線回折およびEPMAを用いて行った。その結果、4成分系カルシウムフェライトの還元経路は、その化学組成が異っても同じであり、スラグ(2CaO・SiO_2や2CaO・Al_2O_3・SiO_2)を析出しながらCaO、SiO_2、Al_2O_3を固溶したマグネタイト、ウスタイトを経て鉄に還元される。 2.4成分系カルシウムフェライトのCOーCO_2混合ガスによる還元反応は、カルシウムフェライトから‘Fe_3O_4'が生成する段階を除くと、次式で表わされる。 ‘Fe_3O_4'(s)+CO(g)=3‘FeO'(s)+CO_2(g) ‘FeO'(s)+CO(g)=Fe(s)+CO_2(g) ここで、‘Fe_3O_4'、‘FeO'はそれぞれCaO、SiO_2、Al_2O_3を固溶したマグネタイト、ウスタイトを表わす。これらの段階の平衡ガス組成はY_2O_3安定化ZrO_2固体電解質を用いて空気を参照極とする電池を構成し、その起電力を測定することにより求めた。その結果、これらの段階の平衡COーCO_2ガス組成は、純粋なマグネタイトとウスタイトおよび純粋なウスタイトと鉄の相境界線を各々高CO側にほぼ平行移動した形となっている。また、4成分系カルシウムフェライトの化学組成が異なると、その平衡COーCO_2ガス組成も多少異なる。
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