研究課題/領域番号 |
63470055
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島田 昌彦 東北大学, 工学部, 教授 (80029701)
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研究分担者 |
佐藤 次雄 東北大学, 工学部, 助教授 (90091694)
遠藤 忠 東北大学, 工学部, 助教授 (30176797)
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キーワード | セリア固溶正方晶ジルコニア / ジルコニア@アルミナ複合体 / ポストHIP焼結 / 高強度高靭性セラミックス / 熱安定性ジルコニアセラミックス |
研究概要 |
正方晶ジルコニアの機械的性質と熱安定性を改善することを目的として、前年度行なったジルコニウムの一部をイットリウムとセリウムで固溶置換した(Y、Ce)-TZPにAl_2O_3を分散した複合体は焼結性が悪く、焼結体をポストHIP処理しても空孔を完全に無くす微細組織制御が困難であった。そこで、(Y、Ce)-TZPよりも易焼結性の12モルパ-セントCeO_2が固溶したセリア固溶正方晶ジルコニア(12Ce-TZP)粒末を出原料として用い、12Ce-TZP/Al_2O_3複合セラミックス焼結体を作成し、その機械的性質と熱安定性におよぼすHIP処理の効果について本年度は検討した。12モルパ-セントのCeO_2を固溶したCe-TZPへ5〜20重量パ-セントAl_2O_3粒子を分散するとZrO_2の粒成長が抑制され、相対密度が向上し分散粒子のマトリックス中の分布も均質な微細組織となった。12Ce-TZPの破壊強度は500MPa、であったがAl_2O_3分散複合体では550MPaへ向上した。複合体は空気中での常圧焼結で相対密度96〜98パ-セントであったが、焼結体の100〜150MPa、1400〜1500℃のポストHIP処理によって、ジルコニアの粒成長と正方晶から単斜晶への相転移も起こすことなく、ほぼ理論密度までち蜜化できた。ポストHIP法で作成した12Ce-TZPマトリックスへAl_2O_3を均一分散した焼結体の破壊強度は750MPaに向上し、破壊靭性値は15MPa√<m>、耐熱衝撃性もΔT=300℃となり、ポストHIP効果が顕著に現われた。その上、ポストHIP法で作成した12Ce-TZPにアルミナを分散させた複合体は熱安定性にも優れており、120℃の水中熱処理でも正方晶から単斜晶への相転移は全く進行せず、熱劣化が起こらなかった。Ce-TZP/Al_2O_3複合体は易焼結性であり、常圧焼結した焼結体についてのポストHIP処理で理論密度にまでち蜜化でき、均一微粒ジルコニアマトリックス中にアルミナが均質に分散した組成制御された複合体となり、熱安定性に優れた高強度高靭性セラミックスとなった。
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