研究課題/領域番号 |
63470058
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山本 治 三重大学, 工学部, 教授 (70023116)
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研究分担者 |
今西 誠之 三重大学, 工学部, 助手 (20223331)
武田 保雄 三重大学, 工学部, 助教授 (60093051)
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キーワード | リチウム二次電池 / リチウム・カ-ボン複合電極 / インタ-カレ-ション / カ-ボンファイバ- |
研究概要 |
リチウム二次電池実用化への最も大きな問題点はリチウム負極のサイクル特性だと言われている。本研究室ではこれまで特性劣化の原因と考えられるリチウムデントライトの析出を防ぐためにLi/カ-ボン複合電極の研究を行ってきた。その結果、確かにサイクル特性が改善されることが判明した。そこで本年度はさらに詳しい反応機構の解明を試みた。カ-ボンの放電反応即ちリチウムインタ-カレ-ション反応をX線回折測定を用いて解析すると興味ある結果が得られた。カ-ボンはリチウムと3段階で反応することが分かった。第一の段階はカ-ボン結晶上の活性部位がリチウムイオンや電解液と反応するインタ-カレ-ション以外の反応である。第二の段階は目的とするカ-ボン内へのリチウムのインタ-カレ-ト反応であり、第三の段階はカ-ボン上へのリチウムの析出である。より優れた負極としてのカ-ボンはこの第二の段階だけが広い電位範囲でかつ速い速度で起こる必要がある。そこで様々な結晶性、配向性のカ-ボンを用意し、これらの段階の現れ方がどのように変化するか検討を行った。結晶性に関しては結晶性が高くなる程、第二の段階の反応の起こる割合が他の2つの段階に比べて大きくなった。配向性に関してはカ-ボン結晶のaーb平面上では第一及び第三の反応が優先的に起こることが分かった。逆にこれらの反応を抑えるにはaーb平面と電解液との接触を妨げるような構造にすれば良いことが分かった。即ち球状あるいは繊維状で中心あるいは軸に対し、放射状に結晶が配向すると上の条件を満たすことになる。またこの場合リチウムイオンの拡散過程が律速段階になると考えられるので球の半径及び軸の半径をできるだけ小さくする必要があることが分かった。以上からカ-ボンの持つべき最適構造が示唆された。
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