研究概要 |
無機材料は、半導体、光学材料、磁気材料、吸着分離剤、触媒としてまた最近においては高温超伝導材料として極めて重要であるが、材料含成は経験的な試行錯誤法に基づき、開発には多大な労力と時間を要している。本研究は、無機材料の分子設計のためのコンピュ-タ支援システムの開発を目的として、昭和63年度と平成元年度の2年次にわたって行われ、下記の成果を得た。 1.無機材料構造デ-タベ-スの作成 NaY,NaM,NaA,ZSM-5,Fe-シリケ-ト,V-シリケ-トなどのゼオライト結晶、V_2O_5、SiO_2、TiO_2、SrTiO_3、MgO、ZrO_2などの金属酸化物結晶、Au,Pt,Pd,Agなどの金属結晶、La_2CuO_4,Ba_2YCu_3O_7-xなどの超伝導酸化物結晶の構造デ-タベ-スを作成した。また、それらの3次元像画像化に必要なデ-タを構築した。 2.無機材料のための分子動力学計算システムの開発 シリカガラス、ホウ酸ガラス、ZSM-5、ZSM-11ゼオライトを例に、分子動力学計算に必要なイオン間ポテンシャルの最適関数を定めるとともに、高速計算のためのプログラムを開発した。 3.材料デ-タベ-ス充実のための実験 ゼオライトへの置換芳香族炭化水素類およびフロン類の吸着実験、各種ゼオライト、メタロシリケ-ト類、ガラス類の電気伝導度、誘電率、光吸収、発光スペクトルの測定を行った。 4.無機材料の分子設計ケ-ススタディ 本システムを用いて、「金属酸化物超薄膜のエピタキシャル成長機構」および「高性能メタロシリケ-ト触媒の作用機構」を研究し、高性能無機材料の分子設計のための指針を与えた。
|