今年度は、共沈法および酢酸塩を用いた固相反応法により(La_<1-x>Ca_x)MnO_3微粒子の合成を行った。また、得られた酸化物微粒子の水蒸気吸着に伴う電気抵抗の測定を行い以下の結果を得た。 共沈法によるCaMnO_3の合成は次の通りである。等モルのCaCl_2・2H_2OとMnCl_2・4H_2Oを含む水溶液に(NH_4)_2CO_3水溶液を滴下し、白色の沈澱物を得、これを充分に水洗した後乾燥した。この沈澱物は粉末X線回折および熱分析(DTA-TG)より六方晶系の(Ca_<0.5>Mn_<0.5>)CO_3であることがわかった。これを空気中950℃にて加熱することによりCaMnO_3を得た。一方、La(CH_3CO_2)_3、Ca(CH_3CO_2)_2およびMn(CH_3CO_2)_2を出発原料とした固相反応法では、900℃にて容易に(La_<1-x>Ca_x)MnO_3を得ることができた。これらの方法を用いると、従来の炭酸塩を出発原料とした固相反応法にくらべ300〜400℃も反応温度を下げることができ、且つ10倍ほど表較面積が大きい酸化物を得ることができた。(La_<1-x>Ca_x)MnO_3微粒子の比表面積はCa量とともに増加し、X=0.8〜0.9近くで最大値(約5.2m^2/g)を示した。0≦X≦0.8の範囲での増加は格子定数の減少によるものであると考えられる。一方、0.8≦X≦1.0の範囲での減少は、Ca量が増すにしたがって酸化物の粒成長が起こりやすくなるためと考えられる。 (La_<1-x>Ca_x)MnO_3を直径1cm、厚さ0.2cmのペレットに加圧成形した後、酸素気流中900℃で焼成した。これらの酸化物の水蒸気吸着に伴う電気抵抗の変化を調べたところ、CaMnO_3においてのみ水蒸気圧が高くなるにつれて電気抵抗は指数関数的に減少することが認められた。焼成温度を900、1100および1300℃と高くしたところ、各々のペレットの相対密度は約60、80および95%であり、電気抵抗の変化率も急激に減少した。CaMnO_3の電気抵抗の変化は交流電源のもとでも同様の傾向を示し、この変化はイオン伝導機構により起こるものと考えられる。
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