研究概要 |
1)多孔性CuーZr系非晶質合金触媒調製条件の検討 前年度において,本研究で開発された亜鉛を用いる化学的修飾法がCuーZr系合金触媒の調製にも適用できることを確かめたが,本年度では調製条件を変化させた時の表面積,CO吸着量および結晶化の度合いについて詳細に検討した。まず,NaOH溶液による亜鉛原子の抽出の際のNaOH濃度(0.5および1.3M),処理時間(45ー400分)の影響を調べたところ,強い条件にするほど表面積は増大し,最大5m^2g^<-1>のものが得られた。ただし1.3M NaOH溶液による400分処理では,得られた粉末合金のX線回折図に明らかなピ-クが認められ,部分的な結晶化が生じていた。この点,CuーZr系合金はCuーTi系に比べ,やや化学修飾により構造変化を起こし易い傾向がある。表面物性は亜鉛原子抽出後の酸素処理によっても変化する。非晶質状態を保つには,酸素処理温度は250℃以下でなければならないが,このときの表面積は6m^2g^<-1>,CO吸着量は3.4μmol g^<-1>であった。 2)メタノ-ル脱水素反応に対する触媒性能 上記の触媒のメタノ-ルからギ酸メチルへの脱水素反応に対する触媒性能を常圧流通系反応装置により試験し酸素前処理温度、反応温度の活性、選択性への影響を調べた。全体的に酸素前処理温度の上昇と共に,メタノ-ル転化率の向上と,ギ酸メチルへの選択性の低下が認められた。選択性の低下は主にCOの生成によるもので,これは推定される中間体であるHCHOの分解を伴うためであると考えられる。また,反応温度の上昇により,メタノ-ル転化率が上昇するが,特に275℃以上においてこの傾向は著しい。ただし,ギ酸メチルへの選択性は250℃以上において急激に低下した。
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