研究概要 |
(1)ピロ-ルを溶解させた水溶液に各種の金属酸化物を分散させ、定電流酸化を行ったところ、等電点(iep)が4.5以下であるWO_3,SiO_2,Ta_2O_5,SnO_2を分散させた溶液からは、それらを取り込んだポリピロ-ル膜が生成した。いっぽうiep=6.0〜6.7のTiO_2粒子の場合には、特異吸着するSO_4^<2->やI^-を析出浴に微量存在させることにより、TiO_2を取り込んだポリピロ-ル膜を調整できることを見出した。WO_3およびTiO_2を取り込んだポリピロ-ル膜は光増感反応を示し、またWO_3を取り込んだ膜は、WO_3とポリピロ-ル膜の両者のエレクトロクロミック特性を示すことが明らかとなった。(2)グルコ-スオキシダ-ゼとフェロセンカルボン酸やヒドロキノンスルホン酸などの電子メディエ-タを溶解したピロ-ル水溶液を電解酸化することにより両者が同時に固定されたポリピロ-ル膜が調整でき、それがアンペロメトリックなグルコ-スセンサ機能を有していることが明らかとなった。(3)ナフィオンのアルコ-ル溶液に、メチレンブル-とアニリンを溶解した析出浴を用いて電解酸化重合を行うことによりメチレンブル-を取り込んだポリピロ-ル膜を調整することができ、この膜がメチレンブル-のエレクトロクロミック特性を有していることが明らかとなった。(4)ポリピロ-ル膜の電導度は取り込まれたド-パントのpK_aにより影響され、pK_aの大きなアニオンがド-プされたポリピロ-ルほどその電導度が小さいことを見出した。またシュウ酸やマレイン酸のモノアニオンあるいはパラフェノ-ルスルホン酸イオンをド-プしたポリピロ-ル膜の水溶液中における導電性は、ド-パントのプロトン解離が起こるpH領域で低下し、pHセンサとして機能することが明らかとなった。
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