研究概要 |
1.昨年度までに開発した(C_5R_5)Ru(7^4ージエン)Xと銀トリラ-トの組合わせ触媒による共役ジエン類の触媒的二量化について,支持配位子の構造とCーC結合生成における位置選択性の関連を詳細に検討した。イソプレンの触媒的二量化において,R=Hの場合には,[4+4]型の頭ー尾結合による8員環骨格形成(87%)とともに,イソプレンの尾ー尾結合にもとづく直鎖型二量体形成が13%程度進行した。一方R=CH_3の場合にはイソプレンの位置およびペリ選択的な[4+4]型環化付加がおこり,しかも主生成物の炭素8員環上の2個のメチル置換基は立体選択的にシス体のみとなった。この点については量論モデル反応で証明した。さらに同様の組合わせ触媒を用いたペンタジエンの直鎖二量化においても,R=Hの場合には主生成物が尾ー尾結合型(74%)と尾ー頭結合型(23%)の混合物を与えるが,R=CH_3の場合は高選択的に尾ー頭結合した4ーメチルー2,5,7ーノナトリエンのみを触媒的に生成することを明らかにした。 2.Nーアリルトリクロロアセトアミド類およびトリクロロ酢酸アリル類のルテニウム(II)におよび銅(I)触媒をもちいる新規ラジカル環化反応により5員環骨格構築が可能なことを昨年度までに明らかにしたので,本年度はアリル基上のα置換基の導入をはかり,隣接炭素上に不斉誘導が可能となり,シス・トランス立体異性体の作り分けを窒素上の置換基を的確に選択することにより実現した。さらに基質骨格に複数のアルケンを導入した基質においても、触媒的なラジカル環化が連続的に進行し一挙に双環状骨格を構築できることを実証した。 3.高度な不斉反応場制御が可能なメリジオナル三座窒素配位子の設計・合成・錯体化に成功し,その触媒機能と効率的不斉増殖能を検討した。 今年度は研究計画年度の最終年度となるため,これまでの研究成果をとりまとめた。
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