研究課題/領域番号 |
63470074
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内本 喜一朗 京都大学, 工学部, 教授 (90025958)
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研究分担者 |
松原 誠二郎 京都大学, 工学部, 助手 (90190496)
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学部, 助教授 (00111922)
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キーワード | トリエチルボラン / 付加反応 / ラジカル / アセチレン / トリフェニルスタナン / ヨウ化アルキル / ヨウ化ビニル / ヨウ化ペルフルオロアルキル |
研究概要 |
トリエチルポラン触媒を用いる付加反応を追求した。この触媒と反応系に微量存在する酸素とから発生する有機ラジカル種が有効な活性種として作用することが明らかとなった。この触媒系を用いると、比較的緩和な反応条件下でラジカル機構によって、アセチレンにトリフェニルスタナン、チオ-ル、ヨウ化アルキル、ヨウ化ペルフルオロアルキルなどを付加させることができる。従来はアセチレンにトリフェニルスタナンを付加させるには、AIBNのようなラジカル開始剤を用い、加熱して反応を行っていた。ラジカル開始剤を熱分解してラジカル種を発生させるために必要であった。ここに開拓したトリエチルボラン触媒によるアセチレンへのスタナンの付加は、ラジカル開始機構が低温で進行するために、反応全体を低温で行うことが可能となり、位置および立体選択的に進行する利点がある。ヨウ化アルキルのアセチレンへの付加も同様に穏和な条件下で進行する。アセチレンに付加させて得られるヨウ化ビニルは有機合成に重要な中間体である。従来はヨウ化ビニルはこの様な簡単な付加反応では合成が困難であった。ここに示した反応は、この重要な中間体をアセチレンとヨウ化アルキルとを中性条件下に付加させて合成する新しい方法を示したものである。位置および立体選択的に反応は進行し、三置換エテン合成に有効な方法となる。一方ヨウ化ペルフルオロアルキルも、同様にしてトリエチルボラン触媒を用いてアセチレンに付加させることができ、ペルフルオロアルキル基を有する化合物合成に有効な手段を提供している。またトリエチルボラン触媒存在下に、有機ハロゲン化合物をスタナンで還元して炭化水素に導けることを明らかにし、従来の金属水素化物を用いる反応では還元が困難であったハロゲン化合物でも還元出来ることを示した。
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