1.種々のヌクレオチド(アデニル酸、8-ブロムアデニル酸、8-アジドアデニル酸、ウリジル酸、シチジル酸、グアニル酸など)とイミダゾ-ルとの反応で対応するヌクレオシド-5'-ホスホイミダゾリド(ImpN)を合成した。2.イミダゾ-ルの他に2-メチルベンズイミダゾ-ル、2-メチルイミダゾ-ル、トルアゾ-ルなどのアゾ-ル化合物について対応するアデノシン-5'-ホスホイミダゾリド(AzpA)。3.各種のImpNおよびAzpAを中性水溶液中、室温で触媒量の硝酸ウラニル存在下、縮重合反応を行った。この反応は特異な構造を持つウラニル錯体が中間体として進行すると考えられる。4.生成した各種のオリゴヌクレオチドを高速液体クロマトグラフィ-で分析した。また単離精製したオリゴヌクレオチド類についてCD、NMR、UVなどで物性、構造の研究を行った。5.このウラニル錯体を触媒に用いた反応で2量体から16量体までのオリゴマ-が高収率で得られ、かつ2'-5'結合部位選択性が非常に高い反応であることを認めた。6.この反応はいずれの核酸塩基でも進行するが生成物の分布、選択性は核酸塩基により大きく異なることを見出した。核酸塩基部がブリン系の場合鎖状で鎖長の長いオリゴヌクレオチドが得られるのに対し、ピリミジン系の場合には、環状の短鎖長のオリゴヌクレオチドが得られた。7.核酸塩基部のみに配位可能なHg^<2+>、Ag^<2+>をImpC-ウラニル錯体系の反応に添加すると生成物の選択性が大きく変わり、鎖状で鎖長の長いオリゴヌクレオチドが生成することを認めた。8.AzpAのウラニル錯体触媒による反応ではアゾ-ル化合物により、反応速度、生成物の収率、鎖長などが大きく変化することを明らかにした。9.さらにウラニル錯体系の他Mn(II)-およびCd(II)-錯体系でのImpAの反応を行ったところピロりん酸結合形成反応を促進することを認めた。
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