研究課題/領域番号 |
63470082
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
野崎 一 岡山理科大学, 工学部, 教授 (40025763)
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研究分担者 |
佐藤 恒夫 岡山理科大学, 工学部, 講師 (80183383)
大寺 純蔵 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20131617)
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キーワード | 有機スズ / 硫化物 / ルイス酸 / 保護 / テトラヒドロピラニルエ-テル / アルコ-ル / エステル / カルボン酸 |
研究概要 |
本年度は主として有機スズ硫化物の合成利用を検討した。SnーS結合は化学的に安定であるため、従来有機スズ硫化物が合成的に用いられることはほとんどなかった。我々はこれらの化合物をルイス酸と組み合わせるとSnーS結合が活性化され極めて温和なチオアルコキシル化剤となることを見付けた。この反応を利用してアルコ-ル性水酸基およびカルボン酸の保護活性化の新手法を開発した。 (1)アルコ-ル性水酸基をもつ基質に合成反応をほどこすには、しばしば水酸基の保護が必要である。つまり希望の変換を行う間、水酸基が邪魔をしないように眼らせておくのである。テトラヒドロピラニル(THP)化も保護の一方法としてよく知られている。しかしTHPエ-テルを元のアルコ-ルに戻すには酸性条件下での操作が必要である。我々は有機スズ硫化物やTHPエ-テルをルイス酸存在下で反応させ加水分解するとほとんど中性条件下で脱保護ができることを見つけた。さらに、この反応において加水分解する代わりに種々の求電子剤を反応させるとTHPエ-テルがワンポットで他の官能基に変換できることが判明した。この反応はスズ硫化物が対応するアルコキシドに容易に変換されるところがキ-ポイントである。 (2)カルボン酸のαーメチルシンナミル(MEC)エステルをルイス酸存在下に有機スズ硫化物と反応させるとスズカルボキシラ-トが生成する。この反応混合物を加水分解するとカルボン酸が回収される。すなわち新らしい脱保護法である。さらに加水分解する代わりにハロゲン化アルキルを反応させると新たなエステルが得られる。すなわちMECエステルから他のエステルに一段で変換することに成功した。
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