研究概要 |
膨潤したポリイソプレンおよびポリシロキサンエラストマ-の網目構造の解析を蛍光ラベル法および動的光散乱法で調べた。さらに網目構造と準希薄溶液におけるからみあい網目との類以性について考察した。 1.ポリイソプレンのベンゼン溶液に一定濃度のピレンを加え蛍光スペクトルを測定すると,準希薄溶液の領域からエキサイマ-蛍光強度が急激に増加することが明らかになった。これは,網目の協同拡散における動的ゆらぎが,励起モノマ-とエキサイマ-間の平衡より遅いこと,および網目点近傍ではピレンのエキサイマ-形成が優勢であることを示している。つまり,蛍光プロ-ブ法でからみ合い網目の動的不均一構造に関する情報が得られることを始めて明らかにした。 2.ラジカル開始剤を用いて,ポリイソプレン鎖を蛍光試薬Nーピレンマレイミドでラベルした。高濃度にラベルした場合には,蛍光プロ-ブ系と同様に準希薄溶液の領域でラベルポリマ-のエキサイマ-強度の上昇が認められ,からみあい網目点近傍が抱束を受けていることを示唆する。また,膨潤ゲルでも同様な結果が得られた。純ポリイソプレン中に小量ブレンドしたラベルポリイソプレンの蛍光エキサイマ-スペクトルはDCPによる橋かけによってかなり増加した。これは,橋かけによって分子鎖が収縮することを意味する。 3.膨潤ゲルの準弾性光散乱により,網目構造を調べた。bimodal網目の場合には,unimodal網目と異なり協同拡散係数の高分子濃度依存性は動的スケ-リング則の予測からはずれた。また、自己相関関数は二つの指数項で近似でき,このうちの遅い運動モ-ドを網目のクラスタ-に由来するものと考えた。これらの結果は,bimodal網目では膨潤が不均一におこっているものとして解釈できた。
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