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1990 年度 実績報告書

走査トンネル顕微鏡による吸着高分子鎖の形態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 63470089
研究機関三重大学

研究代表者

高橋 彰  三重大学, 工学部, 教授 (70023009)

キーワード走査トンネル顕微鏡 / DNA / アミロ-ス / カラゲナン
研究概要

本年度は走査トンネル顕微鏡(STM)による生体高分子観察に画期的進歩がえられた。まず液晶を形成する4ーシアノー4ーnーデシルビフェニルの2次元液晶配列の観察に成功したこと,ついで液晶形成能をやはり持つDNAの二重らせん構造の観察に成功した。この結果必ずしもド-ピングして試料を導電性にすることがSTM観察に必要ないことが判った。しかしながら一本一本の高分子にグラファイト上で分離して観察することにはDNAでも成功しなかった。
グラファイト表面が疎水性であり,この表面上で分子を孤立させるには分子表面の疎水性・親水性のバランスが必要ではないかと考え,まずでんぷんを構成する高分子としてアミロ-スをえらび,これのSTM観察を試みた。アミロ-ス分子表面は疎水性と親水性をかね備えていると考えたからである。予想通りアミロ-ス分子の孤立した分子像の観測に成功し,一重らせん構造をとらえることができ,分子の全長は分子量から求めた値と一致し更にらせんのピッチも結晶構造と一致することが分った。つづいて電解質多糖であるКーカラゲナンゲルの架橋領域の観測にも成功し,架橋領域が2〜3本の棒状カラゲナン分子の平行配列的なス-パ-ストランドから成り,カラゲナン分子がピッチ25A^^°,太さ15A^^°のヘリックスであることも明らかにできた。以上をまとめるとSTM観察に成功するか否かはグラファイト表面と高分子表面の相互作用の適当なバランスが必要ということになり,改めて高分子の分子表面科学という新分野の研究の重要性を指摘した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 川口 正美: "Adsorption of Polystyrene and Poly(methyl methacrylate)onto a Silica Surface Studied by Infrared Technique" J.Chem.Soc.FARADAY TRANS.89. 1383-1387 (1990)

  • [文献書誌] 岡 幸広: "Scanning Tunneling Microscope Observation of Shape of Iodine Doped Poly(Nーvinylcarbazole) Deposited on Graphite Surface" Polymer J.23. (1991)

  • [文献書誌] 高橋 彰: "高分子吸着の分子論" 海外高分子研究. 36. 37-41 (1990)

  • [文献書誌] 高橋 彰: "Conformational States of Polymers Adsorbed on Interfaces" Polymer J.23. (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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