研究課題/領域番号 |
63470093
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子物性・高分子材料
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
高柳 素夫 九州産業大学, 工学部, 教授 (40037643)
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研究分担者 |
添嶋 康廣 九州産業大学, 工学部, 助手 (10179377)
植田 茂行 九州産業大学, 工学部, 助手 (90069576)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | パラ型アラミド / ピラジン環 / ヘテロ環アラミド / 繊維弾性率 |
研究概要 |
1.高性能アラミド繊維を新規創出するために、既存のポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)の代わりにピラジン環を含む多環体から成り、純硫酸中で液晶を形成する新規アラミドを分子設計し実現を図った。 2.ピラジン環を含む多環体の合成はp-シアノアセトフェノンを出発原料として、ブロム化、二量化、加水分解により三環体の2.5-ビス(4-カルボキシフェニル)ピラジンを得る方法と、酸化後、グリシンアミドとからピラジン環を形成し、クロル化したのちシアノ化あるいはフタルイミド化後、加水分解によって二環体の2-(p-カルボキシフェニル)-5-カルボキシピラジンまたは2-(p-カルボキシフェニル)-5-アミノピラジンを調整する方法を見出した。これらのモノマ-はp-フェニレンジアミンとN-メチルピロリドン、CaCl_2等を用いて低温溶液重合を行った。 3.三環体の2.5-ビス(4-カルボキシフェニル)ピラジンで重合したアラミド固有粘度は2.01dL/g、窒素雰囲気中での10%重量減少温度は、545℃であった。また純硫酸に可溶で、相図より約8wt%以上から液晶を形成した。しかし、PPTAと比較すると液晶範囲は狭く、高濃度において容易に結晶を析出し、紡糸技術は困難をきわめた。三環体を導入したアラミド配向薄膜のX線回折から理論弾性率は310GPaと見積もられ、既存のアラミドの約1.6倍と予測した。これは高性能化の期待に沿う。三環体の剛直性の増加による結晶化及び配向緩和速度の速さを調節するために、繰り返し単位中のピラジン環数の割合を増加し、液晶状態の安定性を増すために二環体を合成した。 4.多環化アラミドの高性能性は明らかとなったが、成形性に困難がある。このため多環体におけるピラジン環の割合を増加し、重合溶媒への溶解度増加による分子量の増大と液晶の安定性を増し、紡糸を容易にし繊維性能の向上を図った。低収率のため性能評価に至らなかった。
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