研究概要 |
1.テトラヒドロピラン環を主鎖にもつポリアミドの構造制御合成 双環オキサラクタム、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-6-オンのアニオン開環重合によって、シス-2,5-結合したテトラヒドロピラン環からなるポリアミドを得る方法をほぼ確立した。この種のポリアミドの構造と性質との関係を知る目的で、トランス-5-アミノテトラヒドロフラン-2-カルボン酸の直接重縮合により、対応するトランス単位からなるポリアミドを合成した。トリフェニルホスフィンとヘキサクロロエタンとを縮合剤に用いると、室温での反応で目的とするポリアミドが得られた。このポリアミドは、ヘキサフルオロ-2-プロパノ-ルやm-クレゾ-ルなどに可溶であり、対応するシス単位からなるポリアミドに比べて溶解性が低く、分子鎖の剛直性を反映している。 2.テトラヒドロピラン環を主鎖にもつポリエステルの合成とその機能 2,6-ジオキサビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンの4-位に、エステル結合を介してオリゴオキシエチレン鎖またはベンジル基を有する双環オキサラクトンを新たに合成した。これらのモノマ-は低温で比較的容易にカチオン重合し、テトラヒドロピラン環を主鎖にもつポリエステルを与えた。NMR分析によれば、いずれの重合体もテトラヒドロピラン環を結ぶ結合が互いにシス位にある構造単位とトランス位にある構造単位とからなる。これらの新規ポリエステルは、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど種々の溶媒に可溶であり、側鎖エステル基の導入によって溶解性が著しく向上した。中性条件におけるこれらのポリエステルの加水分解特性を比較検討した。
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