研究課題/領域番号 |
63470098
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 剛夫 京都大学, 工学部, 教授 (10025893)
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研究分担者 |
彌田 智一 京都大学, 工学部, 助手 (90168534)
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キーワード | 超異方性導電性分子薄膜 / 分子デバイス / ラングミュアブロジェット法 / トポケミカル重合 / 積層構造 / 有機電子材料 / 色素増感電子移動リレーシステム / 可視光リソグラフィ |
研究概要 |
超異方性導電性分子薄膜は、超高集積度を目標とする次世代素子である分子素子の構築に不可欠であり、これを高分子材料によって作成することは、素子の耐熱性、力学的強度、化学的耐腐食性等の性質付与の上で有効な方法である。(1)ラングミュアプロジェット法によりあらゆる基盤上に累積可能な両親媒性ピロール誘導体を合成し、電極上のこの累積膜を特異な電解重合によってトポケミカル重合を行い、積層構造を保持した導電性高分子LB膜を合成した。得られた導電性高分子LB膜の電導度異方性は100億倍におよんだ。(2)この方法を一般化するために、LB膜の成膜対象をポリアニリン、ポリチオフェンに展開した。これらの場合も、重合体の有機溶媒可溶性に着目し、両親媒性アニリン重合体の累積膜において、4桁におよぶ電導度異方性を実現した。さらに、ドーピングにより両親媒性ドーパントを複合した軽置換型ポリピロール重合体を電解重合によって合成し、この累積膜においても3桁におよぶ電導度異方性を実現した。また、ドープ状態の安定なポリチオフェンについても両親媒化をおこない、水面上で単分子膜を形成することを明らかにした。今後、低温における詳細な電流ー電圧曲線の検討より、積層構造に由来する量子的電導機構の発現について検討する予定である。(3)任意の基板上に導電性高分子材料をパターンとして構築することは、有機電子材料を構築するうえできわめて重要な課題であり、色素増感電子移動リレーシステムを用いた導電性高分子パターンの合成方法を開発した。現在、10μmの線幅解像度の可視光リソグラフィに成功している。本方法は、複数種の増感色素を用いることにより積層化による導電性高分子の3次元パターニングの可能性を示唆するものである。以上の知見を統合して分子素子構築のための分子オーダーの超微細有機電子材料の設計法に展開する予定である。
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