1.昨年度の研究より、同軸に配置した二円筒の底面間の流れにおいては、内円筒半径付近において接線方向及び半径方向の乱流強度やレイノルズ応力が最大になることがわかった。また半径方向平均速度の測定結果から、円筒回転軸を含む鉛直平面に二次流が存在するということが予想された。この二次流が流れ構造に大きな影響を与えていると考えられ、また熱伝達を伴う場合、二次流が浮力によって大きく変化し、熱伝達速度に大きな影響を及ぼすと考えられる。このため熱伝達の研究をする前に鉛直方向の流れを測定し二次流の形状を明らかにすることが必要と考えた。 2.内半径14.5cmのアクリル製円筒容器を高精度で回転させ、これと同軸に外半径10.0cmの内円柱を設置し、これらの間に水を満たした。底面間隔を10.0cmから20.0cmまで変化させて、水の鉛直方向の流速をレ-ザ・ドップラ流速計によって測定した。 3.その結果鉛直方向平均速度分布はレイノルズ数によらず一本の線で相関でき、またその大きさは円筒外周速度の1/100程度であることがわかった。この測定結果と前年度の結果より円筒回転軸を含む鉛直平面に二次流が存在し、内円筒の外側に渦が一つ、内円筒半径より内側にそれより弱い渦が存在することが明らかになった。 4.鉛直方向乱流強度分布は、測定高さ、レイノイズ数、円柱底面間隔によらず一本の曲線で相関できた。そしてその大きさは内円筒半径の内側で外円筒周速度の5%程度、内円筒半径の近くにピ-ク値で約15%であることがわかった。 5.熱伝達の研究のための装置は既に完成し、液晶を使った温度分布の測定実験が現在進行中である。
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