1.ヒドロキシアルミニウムイオンとオルトケイ酸の反応におよぼす有機配位子の影響: 室温条件下でヒドロキシアルミニウム(HA)イオンとオルトケイ酸をクエン酸、フルボ酸、腐植酸共存下で2時間、7、21、50日間反応させた。反応溶液を0.01μmメンブランフィルターで限外濾過し、得られた濾液と反応母液についてAlとSiを定量した。また生成物についても赤外分光光度計でその特性を調べた。Si/Al原子比が0.5、OH/Alモル比が2.0では、腐植酸(100ppm)およびフルボン酸(50ppm)の存在下ではHAイオンとオルトケイ酸の反応が部分的に、また腐植酸1000ppm存在下では完全に抑制された。クエン酸あるいは100ppm以下の濃度のフルボ酸、腐植酸共存下ての生成仏はIRスペクトルで965〜969cm^<-1>に特異的な吸収を示すヒドロキシケイ酸アルミニウム(HAS)ゾルとその有機配位子複合体が形成された。腐植酸1000ppm共存下ではAl-腐植酸複合体が形成された。Si/Al原子比が1.0、OH/Alモル比が3.0でもHASゲルとその有機配位子複合体が形成された。しかし有機酸濃度が低い時の生成別はアロフエンに類似した特性を示した。 2.スメクタイトによるHASイオンの固定とHAS-スメクタイト複合体によるリン酸塩、腐食物質の吸着: スメクトイトがHASイオンを固定し、その荷電特性を変えることを明らかにした。HAS-スメクタイト複合体を1/3MAlCl_3溶液で処理し、Alを保持する強酸的サイトとHを保持する弱酸的サイトを定量すると、スメクタイトの強酸的サイトがHASイオン固定することにより減少し、逆に弱酸的サイトが増加することを明らかにした。さらにHASイオンを固定することにより、スメクタイトの膨潤能を著しく低下させ、リン酸塩や腐植物質(フルボ酸、腐植酸)の吸着を著しく増大させた。
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