1.スメクタイトとヒドロキシケイ酸アルミニウム(HAS)イオンを反応させ、HAS-スメクタイト複合体を調製した。HASスメクタイト複合体によるフルボ酸、腐植酸の吸着について研究し、スメクタイトはこれら天然の高分子有機配位子をほとんど吸着しないが、HAS-スメクタイト複合体は多量の高分子有機配位子を吸着することが明らかになった。これはスメクタイトの層間や表面に吸着・固定されたHASイオンと有機配位子の間に反応が起ることを示唆している。HAS-スメクタイト複合体による有機配位子の吸着に及ぼすHASイオンのSi/Al原子比の影響、平衡pHの影響、有機配位子濃度の影響について研究し、ラングミュア吸着式のEadie-Hofsteeプロットより、最大吸着量と結合エネルギ-定数を算出した。 2.酸性陸水中のアルミニウムイオンの形態とコロイド状アルミノケイ酸塩の挙動について研究した。東北地方における7種の酸性河川水、酸性湖沼水の水質を分析し、アルミニウムイオンの形態分析を行った。この結果、酸性陸水中にAl ^<3+>、ヒドロキシアルミニウムイオン、HASイオンを同定した。陸水中におけるHASイオンの同定は初めての知見である。また、酸性陸水中のケイ酸アルミニウムコロイドの化学組成、鉱物組成に有機酸が影響している可能性を指摘した。
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