1.トウモロコシの品種の中からアントシアニンを集積しやすいイエローデント(YD)とアントシアニンを集積しにくいゴールデンクロスバンタム(GC)を選び、窒素、リンおよびマンガンを欠除させ、フェノール性化合物の含有率に及ぼす影響について検討した。全フェノールおよびフラバノール含有率は、YD、GCともにリン欠除もしくは窒素欠除によって増加し、窒素欠除による増加はリン欠除による増加よりも著しかった。アントシアニンは、特にYDのリン欠除区において著しく増加したが、GCでは処理による変化はわずかであった。ロイコアントシアニンについては、YD、GCともにリン欠除区で含有率が高かった。マンガン欠除処理したYDでは、アントシアニン生成が抑えられ、リンを欠除させてもアントシアニンがほとんど集積しなかった。 2.アントシアニンを集積しやすい植物として赤レタスと赤キャベツを用いてマンガン欠除水耕栽培を行い、フェノール代謝に及ぼすマンガンの影響について検討した。マンガン欠乏の赤レタスと赤キャベツは着色せず、葉身のPAL活性、全フェノールおよびアントシアニン含有率が低下し、特にアントシアニン生成は、マンガン欠除によって著しく抑制された。マンガン欠除区の赤キャベツ上位葉のクロロフィル含有率は対照区とほとんど変わらなかったにもかかわらず、アントシアニン含有率は著しく低下した。 3.落花生の結実圏へのカルシウム供給量を変化させて培養し、莢のカルシウムとフェノール性化合物の結合様式について、欠乏植物と対照の健全な植物との比較を行った。正常な莢ではフェノール炭水化物複合体のカルシウムとカフェー酸のモル比は1であったが、カルシウム欠乏の莢では0.7に減少した。これは主に複合体中のカフェー酸の増加によるものであった。
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