研究概要 |
イネの主要貯蔵タンパク質であるプロラミンおよびグルテリンがそれらの貯蔵部位であるプロテインボディーI(PB-1),(PB-2)へ正確に分配される機構とその間に進行する合成ポリペプチドのプロセシング機構を分子レベルで明らかにする研究を進めた。 その結果、登熟期胚乳を乳鉢にて破砕後、200×g程度のゆるい遠心分離によりデンプンを除去しその上清を15,000×g程度で遠心分離して膜成分を集めることによりin vitroでグルテリン、プロラミンのプロセシングを進行させる膜線分が確保出来ることが判った。この手法は極めて単純なものであるが今後の研究進展に重要な知見を与えた。 一方、登熟イネ種子のcDNAライブラリーより、プロラミンcDNA、グルテリンcDNAをそれぞれ2種同定し、その全塩基配列を決定した。得られたcDNA構造に基づきプロラミン、グルテリンの前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を決定した結果、プロラミン前駆体のもつシグナル配列とグルテリン前駆体のもつシグナル配列が別々にグループ分け出来ることが判明した。このことは、プロラミンポリペプチドがPB-Iへ、またグルテンポリペプチドがPB-IIへそれぞれ正確に分配されるためにシグナル配列が重要な寄与をしていることを指唆した。
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