枯草菌における異種蛋白質分泌生産系を作成するために、枯草菌からクローン化したセルラーゼ遺伝子のプロモーターと分泌シグナル配列を利用し、これを大腸菌のpBR322のβーラクタマーゼ遺伝子の成熟酵素部分の上流に連結した。この組換体プラスミドは大腸菌中でβ-ラクタマーゼを発現し、3時間培養では、その90%がペリプラズムに存在したが、10時間培養では、70%が菌体外に分泌され、20%がペリプラズムに存在した。このように、枯草菌のセルラーゼのプロモーターと分泌シグナルペプチドは、大腸菌における酵素の分泌生産にも有効であることが判明した。 次に上記プラスミドにP.UB110を連結し、大腸菌-枯草菌シヤトルプラスミドを作成した。このプラスミドは、枯草菌中で大腸菌のβラクタマーゼを発現して、その約90%を菌体外に分泌した。枯草菌の宿主として、中性プロテアーゼおよびアルカリプロテアーゼを欠損した株を用いた場合には、野生株宿主にくらべて、10g、phaseの後期において2.5倍、stationaryphase(6時間培養)においては6倍のβラクタマーゼ活性が培養上清中に得られた。プロテアーゼ野性宿主においてはlogphaseにおいて生産されたβラクタマーゼ活性がstationary phaseにおいて約2.5分の1に減少するのに反し、プロテアーゼ欠損宿主では、この様な酵素活性の低下が見られず、異種蛋白質の生産に有効でることが判明した。
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