研究概要 |
矮性インゲン(Phaseolus vulgaris cv.Mantle)の黄化芽生えの上胚軸約3kgをトリス緩衝液で抽出し、約9,000gの遠心分離により、不溶性画分を除去し、上清に硫安を加えてタンパク質を沈澱させ、粗タンパク質を得た。これを透析して硫安を除き、18,000gの遠心分離を行い、上清について平衡透析法および抗GA4抗体との競合反応を利用したELISAによるバインディングアッセイを行ったところ、活性型ジベレリンであるGA4と結合する性質を持ったタンパク質の存在が確認された。この結合は、同じく活性型のGA3により置き換えられる特異的結合は、非活性型のGA34により置き換えられる非特異的結合に比べ非常に小さかった。この粗タンパク質をジベ-ル酸をリガンドとして、アミノセルロファインに結合させたプレカラムを通過させ、通過液を逆透析して約1gのタンパク質を得た。このタンパク質をGA4-17-ノルケトン-アミノオキシ酢酸を結合させたアフィニティ-カラムを用いて精製を進めた。アフィニティ-カラムに吸着されたタンパク質を塩濃度を上げて溶出を行い、逆透析を行ったところ約150mgのタンパク質が得られた。このタンパク質について、このタンパク質について平衡透析によるバインディングアッセイを行ったところ、GA3によって置換される特異的結合が、非特異的結合を上回った。しかし、この段階においても、なおGA3により置換されない非特異的結合が40%近く存在した。次にセファクリルS-400を用いたゲル濾過を行ったところ、結合活性は約200KD付近の溶出画分に認められたが、この時点でのタンパク質の量は非常に少なく、Lowry法による定量は出来なかった。ゲル濾過の過程で吸着による損失が大きかったのではないかと考え、検討を加えている。
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