研究課題/領域番号 |
63470117
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 順一 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027041)
|
研究分担者 |
山本 行男 京都大学, 教養部, 助教授 (90109059)
西岡 孝明 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80026559)
|
キーワード | 不斉合成 / 有機溶媒中の酵素反応 / リパ-ゼ / 酸無水物の位置選択的開環反応 / ビナット-ル速度論的分割 / キラルシアンヒドリン類の合成 |
研究概要 |
種々のキラルシントンの創製には、高効率不斉反応の開発が不可欠とされている。そこで、本研究では、生化学的手法に重点を置き、有機溶媒中での酵素リパ-ゼを利用した合成反応を実施した。 1.有機溶媒中リパ-ゼを触媒とする2位置換環状酸無水物の位置選択的不斉開環反応。非水条件下での酵素反応として、リパ-ゼ(Psendomonas sp)を触媒とした表記酸無水物のエタノ-ルによる開環反応を検討した。その結果、5員環及び6員環いずれの酸無水物もジイソプロピルエ-テル中リパ-ゼの作用により、速やかに開環し、モノエステルを定量的に与えることを見い出した。しかもその際、2位に置換基のないカルボニル基が優先して反応し、その位置選択性は100%に達することが判明した。 2.ビナフト-ルとそのエステル類の立体選択的アシル化及び脱アシル化反応。有機溶媒中で同様の酵素を触媒とした表記反応を行った。本反応においてもエタノ-ルエステル類を用いることにより、ビナフト-ルの不可逆的アシル化が90〜95%e.e.で立体選択的に進行することを見い出した。また、ラセミのモノエステル類の脱アシル化反応においてもリパ-ゼは高い選択性を示し、(R)-ビナフト-ルと(S)-モノエステルをいずれも90%以上の光学純度で与えた。 3.光学活性シアノヒドリンアセテ-トの合成。医薬品などの合成中間体として有用な光学活性シアノヒドリン類を得るために、リパ-ゼを用いた同様の速度論的光学分割を実施し、マンデロニトリルからは期待通り最高96%e.e.で対応シアノヒドリアンアセテ-トが得られた.現在本反応は、塩基触媒を共存させることによってシアノヒドリンのアルデヒドからの生成反応と立体選択的アセチル化を同時に行い、安定なアセテ-トとして獲得する新規合成法の確立を目指して続行中である。
|