研究概要 |
コリンの共存下でポリアクリルアミド(PAM)のホフマン反応を行い、1級と4級のアミノ基を有するカチオン性PAM(cーPAM)を合成した。水ーpMFの均一系でダンシル化を行い蛍光標識した(DCーPAM)。励起波長は333nm,蛍光波長は540nmであった。(a)分子量(MW)が一定(40万)で荷電密度(CD)の異なる(0.65,1.4,2.5meq/g),逆に(b)CDが一定(1.4meq/g)でMWの異なる(2万,40万,800万)一連のCーPAMとのDCーPAMを合成した。 ポリスチレンラテックス(PSL)へのCーPAMの吸着は速やかに起きた。しかし、パルプへの吸着速度はポリマ-のMWやCDに大きく影響された。これはパルプの多孔性に依存した。吸着等温線を素にポリマ-と固体試料の荷電比が種々論議された。ポリマ-の吸着性は蛍光標識化により何ら影響されなかった。 PSL及びパルプ上でのポリマ-交換反応を行った。まずDCーPAMを吸着させ、所定時間後に過剰のCーPAMを加え振とうした。交換率は液中に遊離される蛍光強度を検量線と比較して求めた。MWの高いポリマ-の交換反応は起きなかった。CDの高いポリマ-では極く少し起きた。その他では相当の交換が起きた。PSLではそのDCーPAMとの接触時間(前吸着時間)の影響は小さかったが、パルプでは極めて大きかった。これはDCーPAMのパルプ細孔中への浸透に起因すると考えられた。 パルプに予めDCーPAMを吸着させ、続いてPSLを加えてポリマ-の転移反応を検討した。転移の初速度に及ぼすMWの影響は、中>大>小の順序であった。MW大のポリマ-転移が比較的容易に起こることは、その交換反応が起きないことを考えると興味深い。ポリマ-の転移では、攪はんによる水力学的せん断力や固体同志の摩擦が深く関与し、また転移の際分子鎖の切断も起こることがわかった。
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