研究課題/領域番号 |
63470120
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木村 喬久 北海道大学, 水産学部, 教授 (60001583)
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研究分担者 |
吉水 守 北海道大学, 水産学部, 助手 (40122915)
田島 研一 北海道大学, 水産学部, 助手 (80002252)
絵面 良男 北海道大学, 水産学部, 助教授 (80001618)
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キーワード | 魚病 / 抗ウィルス物質 / バイオリアクタ- / 生物制御 / IHNV / OMV / 腸内細菌 |
研究概要 |
今年度はまず魚類棲息環境由来細菌Pseudomanas sp.46NW-04の産生する抗IHNV物質の性状および抗ウィルス活性、魚毒性ならびに抗ウィルス作用について検討し、抗ウィルス活性を有する細菌を用いたバイオリアクタ-による抗ウィルス物質の生産および抗ウィルス物質産生細菌固定化ビ-ズを用いたIHNVの不活化法を検討した。そして抗ウィルス物質産生腸内細菌投与によるウィルス病の生物制御の可能性を検討した。Pseudomonas sp.46NW-04株の産生する抗ウィルス物質は低分子で耐熱性の分子量が1126のペプタイド系物質であり9個のアミノ酸から構成され、新しい抗ウィルス物質であった。この物質はIHNVの1/2の濃度でもOMVを完全に不活化した。急性毒性はニジマスに対して200mg/kg以上であった。抗菌活性は100ug/mlの濃度でも認められなかった。抗ウィルス作用はIHNV粒子に対する直接作用であった。本菌菌体をC_2Y培地成分を添加したアルギン酸ビ-ズに固定化し、15℃でC_2Y培地を流したところ高い抗ウィルス物質産生性が得られ、エア-供給および培地交換により産生性はさらに向上した。サケ科魚類の腸内細菌叢の主体を成すAeromonas属を対象に抗IHNV作用を示す菌株のスクリ-ニングを行ったところ90%以上のプラ-ク減少を示す菌株が3株分離された。これらの菌株は飼料成分を栄養源として抗ウィルス物質を産生し、飼料と共に投与した場合腸管内に定着し、腸内容物も強い抗ウィルス活性を示した。3週間餌料と共に投与した後IHNVの攻撃試験を行ったところAeromonas属が優勢であった群では投与群の累積死亡率が約10%、対照群は約30%と有意の差が観察され、Pseudomonas属で占められていた群では70%以上の死亡率となり抗ウィルス物質産生腸内細菌投与によるウィルス病の生物制御の可能性が示唆された。
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