研究概要 |
1)N-アセチル-2,3-デヒドロ-2-デオキシノイラミン酸は各種の生物体液内に分布するシアル酸である。今回、N-アセチルノイラミン酸メチルを原料として濃硫酸・無水酢酸処理し得られたペンタアセタートを水酸化ナトリウム水溶液を用いて加水分解して目的化合物を得た。メタノールから再結晶して1水塩として針状結晶をえた。この結晶を用いてX線解析を行い構造を確定した。〔Chem,Pharm.Bull,36,1872(1988)〕 2)上記の反応の際、副生成物として構造未知のラクトン誘導体をえて各種スペクトルデータから1,7-ラクトン誘導体と決定した。この構造は更にX線解析を行って確定した〔Chem.Pharm.Bull.,36,1147(1988)〕 3)シアロシルコレステロールは強力な神経細胞伸展作用があることから特に興味ある化合物であるので、新規な合成法を開発した。すなわち我々の開発した縮合試薬SS'-ビス(1-フェニル-1H-テトラゾール-5-イルジチオカルボナートを用いてS-グリコシド共与体を合成し、これをコレステロールと反応させて好収率で目的化合物を合成することが出来た。〔Sialic Acids,PP32,52(1988)〕 4)3-デオキシ-D-ノヌロン酸(KDN)はN-アセチルノイラミン酸から熱分解法で合成した。〔Tetravedrou Lett,29,4449(1988)〕これを用いて各種のグリコシド誘導体を合成した。〔Chem.Pharm.Bull,36,4807(1988)〕 5)各種のグリコシル誘導体は加水分解速度測定による方法で決定することが出来た。加水分解法はKDNグリコシドにも応用が可能であることが判明した。この結果はNMRやCDスペクトルを用いた結果と同一であった。
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