研究課題/領域番号 |
63470131
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中嶋 暉躬 東京大学, 薬学部, 教授 (50012597)
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研究分担者 |
萩原 健一 東京大学, 薬学部, 助手 (40192265)
斎藤 洋 東京大学, 薬学部, 教授 (00012625)
首藤 紘一 東京大学, 薬学部, 教授 (50012612)
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キーワード | クモ毒 / ポリアミントキシン / アシルポリアミン / 1-ナフチルアセチルポリアミン / アザクラウン / Zn錯体 / NMR / ORD |
研究概要 |
クモ毒はその構造は共通して芳香属環をもつ部分とそれに接続するアスパラギンを通してポリアミン類を含むポリカチオン部分があり、これらの構造部分について活性発現部位をまず調べたところ、芳香属部分は2.4ジヒドロキシフェニル酢酸、3.4ジヒドロキシフェニル酢酸、インドール酢酸等すべて活性をあらわし、ポリアミン部もカチオン部が3個以上あれば不可逆的にグルタミン酸受容体を阻害する事が判明した。この知見を発展させ、ポリカチオン部をスペルミンに固定し、芳香環部分を1-ナフチル酢酸、2-ナフチル酢酸、p-クロロフェニル酢酸、p-ニトロフェニル酢酸等に置換したものを合成したところ、1-ナフチル体は天然クモ毒の1/10という強い活性をもつことがわかった。 一方天然クモ読破H-NMR測定の結果、Znイオンを添加する事により、ポリカチオン部のメチレン基のプロトンの高磁場シフトが観測され、Znイオンと錯体を形成し、かつポリカチオン部がアザクラウン構造を形成する可能性が示唆された。そこでポリカチオン部をN_4-クラウン-14に置換したものを合成したところ、この化合物のグルタミン酸受容体阻害活性Znイオン添加により顕著に増強された。 これらの結果をふまえ前述のクモ毒様活性を示す1-ナフチルアセチルスペルミンを用い、Znイオンの共存下、非共存下で220nm〜400nmの範囲で旋光度を測定したところ、いずれの場合もPH4〜6の間で旋光度の変化が測定されたが、Znイオンの共存下、非共存下では変化の様式が逆転していた。この結果の解釈はまだ明確な結論にはいたっていないが、同一条件でNMR測定による解析を行ないさらに詳細な検討を加える予定である。
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