研究課題/領域番号 |
63470135
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 康男 東京大学, 理学部, 助教授 (30004336)
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研究分担者 |
田沢 一朗 東京大学, 理学部, 助手 (00011718)
北島 健 東京大学, 理学部・日本学術振興会, 特別 (80192558)
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キーワード | 卵活性化にたずさわるプロテアーゼ / ポリシアロ糖タンパク質 / 卵表層胞局在糖タンパク質分解酵素 / 受精時に活性化されるプロテアーゼ / ニジマス卵 / 受精 / 卵表層胞開口分泌 |
研究概要 |
我々はニジマスをはじめサケ科魚卵一般に存在する極めてユニークな糖タンパク質(ポリシアロ糖タンパク質:PSGPと略称)が未受精卵内の顆粒である表層胞に局在し、受精直後開口分泌し細胞膜と受精膜の間にできる空間(囲卵腔)に放出されると直ちに低分子化されることを見出し、この表層反応に呼応した疲化の分子機構を明らかにした。この反応にあずかるプロテアーゼ(PSGPase)の研究が本研究課題である。本年度新たに得られた成果の概要は以下の通りである。 1.PSGPというpolyproteinをプロセスする酵素という生物学的に重要な過程に関与する分子である点からin vitroの系に移すことを先ず試み、未受精卵(ニジマス)表層画分に酵素活性が局在することを見出した。 2.表層画分に見出したPSGPase活性の有効な活性測定法の確立を目指し、トリチウム標識した基質〔^3H〕PSGPを調製し、セチルピリジニウム(CPC法)を考察し、各種クロマトグラフィー法を組合せて用いることによって、SDS-PAGEおよびHPLC的に均一な純化された酵素PSGPase標品を得ることに成功した。この過程でPSGPase分子は未受精卵にあっては前駆体として存在することも見出した。 3.精製したPSGPase標品を用い酵素化学的諸性質を明確にする実験を行ない、(1)至適温度が〜16°Cと低いこと、(2)低塩濃度下(<40mM)においてのみ活性であること、(3)DEPおよびPCMBによって活性阻害を受けること、(4)ニジマス以外のサケ科魚卵(イワナ、ヤマメ、サケ)から単離し、構造解析を行ったPSGPを天然基質として用いることによって、ニジマス卵PSGPaseの基質特異性はPro残基のC端側3残基目にあるAsp、残基のN端側ペプチド結合を特異的に加水分解することを明らかにした。 次年度以降、広く人工基質を用いた基質特異性の検索、活性発現とその制御の分子機構、タンパク質化学上の諸問題等も解決していく。
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