研究概要 |
マイケル付加タイプ不斉合成反応を触媒するアスパスタ-ゼとフマラ-ゼの構造-機能相関について下記の成果を得た。 1)四量体として機能する大腸菌のアスパルタ-ゼをN-エチルマレイミドで失活させた標品と活性型アスパルタ-ゼを4M塩酸グアニジン中で種々の比率で混合して変性させたのち希釈による再生を行ったところ、活性型酵素の含量に対応した活性がそれぞれのハイブリッド標品中で発現した。従って、失活サブユニットも、四量体形成への寄与により、部分的に活性発現が達成されることが明らかとなった。 2)同上酵素の活性化に関与するとされるシステイン430を、合成ヌクレオチドを利用した遺伝子変異によりトリプトファンに変換することにより、酸性phで約4倍の活性上昇と、二価金属イオン要求性の増大が達成された。 3)大腸菌に共存するとされる三種類のフマラ-ゼ遺伝性fumA,fumBおよびfumCの産物としてのFUMAとFUMCの二種が均一に精製され、FUMCは二価鉄非要求性であること、またFUMAはfe-Sクラスタ-をもつ可能性が示唆され、この点でアコニタ-ゼと類似していることが判明した。 4)さきの研究で、アスパルタ-ゼの自殺基質として活用したアスパルテ-トβ-セミアルデヒド(ASA)を今後さらに反応機構解明に活用するための供給源として、酵母のホモセリンデヒドロゲナ-ゼの迅速精製法を開発することに成功した。
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