研究課題/領域番号 |
63470139
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古屋 廣高 九州大学, 工学部, 教授 (30112311)
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研究分担者 |
岡井 富雄 九州大学, 工学部, 助手 (50150488)
佐藤 正知 九州大学, 工学部, 助手 (40117122)
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キーワード | ガラス固化体 / 浸出 / γ線測定 / 化学分離 / 表面析出層 / 放射化 / 熱力学計算コード |
研究概要 |
ガラス固化体を低速ダイアモンドカッターで、0.5×3.0×25mmに切り出し、エメリ紙と0.3μmアルミナ粉末で表面仕上げを行なった。この試料を中性子照射し、ガラス中の成分元素を放射化した。この試料を蒸留水18mlとともにテフロン容器に入れ、所定の期間70℃の恒温槽内で静的に浸出させた。 浸出終了後、浸出液をテフロン容器ごとGe半導体検出器で測定し、核種の定量を行なった。定量のための検出効率とエネルギーの関係は、IAEA標準点線源、天然存在比のK-40を含むKcl溶液を用いて行なった。 微量浸出元素の定量分析では、Cs-134のγ線がバックグラウンドを著しく高くし、測定の妨害になるので、FeCl_3溶液を加え、NH_4(OH)でpHをアルカリ側へ調製してFe(OH)_3とともに共沈させ、Csとこれ以外の元素を化学分離した。 沈澱を硝酸で溶解しテフロン容器に入れ新ためてGe半導体検出器で、Cs以外の微量浸出元素の定量を行なった。 この測定結果をもとに、ガラス固化体の浸出挙動について解析を試みた。解析には、1982年WallaceとWicksによって提出されたモデルを用いた。このモデルは、ガラス表面からのシリカの溶解と、溶解により形成されるFe(OH)_3、Al(OH)_3等の表面析出層中での各元素の拡散からなる。このモデルによると、浸出の初期はtに比例し、浸出の進行とともにt^<1/2>に比例する浸出挙動を示す。本実験のCsの浸出量の経時変化はこのモデルで説明できた。従って、ガラスの溶解と、析出層の形成過程の2つの過程により浸出が支配されていることが分かった。現在、これ以外の元素の浸出挙動を説明するため、熱力学計算コードを利用し、検討中である。
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