ドゥボイシア+タバコ属間体細胞雑種による新規有用産物系の開発

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63470142
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 山田 康之 京都大学, 農学部, 教授 (50026415)
• 研究分担者: 橋本 隆 京都大学, 農学部, 助手 (80180826) ; 佐藤 文彦 京都大学, 農学部, 助手 (10127087) ; 森川 弘道 京都大学, 農学部, 助教授 (00089129)
• キーワード: 体細胞雑種 / 細胞融合 / アルカロイド生合成 / 遺伝的変異 / 核DNA含量 / ドゥボイシア・タバコ / 有用物質生産 / 融合細胞

研究概要

1.プロトプラストの単離条件の検討
トロパンアルカロイドを高産生するDuboisia leichhardtii培養根よりプロトプラストの単離を試みたが、収量がきわめて悪かったため、培養根を脱分化させて得た懸濁培養細胞をプロトプラストの材料とした。懸濁培養細胞からのプロトプラスト単離は、著者らがすでに報告しているD.hopwoodiiの場合と同様の条件で良好な収量が得られた。
2.ドゥボイシアとタバコとの細胞融合条件の検討
培養根より誘導して4ケ月目の懸濁培養細胞(ドゥボイシア)と葉肉細胞(タバコ)とによりプロトプラストを単離し、両者を電気融合させた。融合時の電気的パラメーターは1kv/cm、40μ secが最適であった。
3.体細胞雑種細胞の選抜と培養
電気融合後、数日間静置培養したプロトプラスト懸濁液より、倒立顕微鏡下、マイクロピペットにて、雑種細胞を識別し、単一細胞培養を試みた。その結果、6株の融合細胞株が得られた。これらの細胞株はいずれも、再分化培地に移植すると茎葉を再生した。雑種茎葉の形態はきわめて多様であり、奇形の茎葉のみを再分化する細胞株もあった。このうち一細胞株由来の茎葉は、きわめてタバコに近い形態を示し、健全な植物個体に再生し開発したが雄性不稔性を示した。
4.体細胞雑種細胞の遺伝的安定性
すでに得られているD.hopwoodiiとタバコとの融合細胞株を材料として長期継代培養細胞による雑種カルスの遺伝的変異を解析した。単一融合細胞由来のサブライン間で、DNA含量、ペルオキシダーゼのアイソザイムパターンに差が見られた。すべてのサブラインでタバコ染色体の脱落が観測された。

研究成果

• [文献書誌] T.,Endo: Theoretical and Applied Genetics. 76. 641-646 (1988)
• [文献書誌] B.,Drager: Agricultural and Biological Chemistry. 52. 2663-2667 (1988)
• [文献書誌] T.,Endo: FEBS Letters. 234. 86-90 (1988)
• [文献書誌] T.,Hashimoto: Plant Physiol.84. 144-147 (1987)
• [文献書誌] T.,Hashimoto: Agric.Biol.Chem.51. 2769-2774 (1987)
• [文献書誌] T.,Hashimoto: Eur.J.Biochem.164. 277-285 (1987)
• [文献書誌] Y.,Yamada: "Secondary Products from Plant Tissue Culture." Oxford University Press,
• [文献書誌] Y.Yamada: "Applications of Plant Cell and Tissue Culture" John Wiley and sons, 199-212 (1988)