研究課題/領域番号 |
63480002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大沢 省三 名古屋大学, 理学部, 教授 (10034620)
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研究分担者 |
大浜 武 名古屋大学, 理学部, 助手 (00194267)
武藤 〓 名古屋大学, 理学部, 助教授 (80034635)
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キーワード | マイクロコッカス / マイコプラズマ / 無細胞翻訳系 / 使用不能コドン / 遺伝暗号 / プラナリア / ミトコンドリア |
研究概要 |
マイコプラズマにおいて、これまで使用例もなく、また対応するtRNAも検出できないアルギニンを指定するコドンの一種であるCGGについて、マイコプラズマの無細胞翻訳系を調整し、このコドンを含む合成メッセンジャ-・RNA(mRNA)を翻訳させたところ、CGGコドンを含むmRNAは、このコドン部位で翻訳が停止していることがわかった。このことから、マイコプラズマにおいて、このコドンは対応するtRNAの消失により使用できないコドンとなっていることが証明された。このようなコドンの存在は、遺伝暗号が変化するには、まずそのコドンがゲノム上から消失し対応するtRNAも、それにつれて消失することによって起こるとした『遺伝暗号の捕獲説を実験的に証明したものである。 マイクロコッカスにおいても、6種のコドンが使用例もなく、それらに対応するtRNAも検出できない。この細菌についても無細胞翻訳系が完成した。目的とする合成mRNAが調整できしだい、これらのコドンが翻訳できるか否かについて実証できる。 ヘン形動物に属するプラナリアのミトコンドリアCOI遺伝子についてPCR法を用い塩基配列の一部を決定した。その結果、遺伝暗号の変異が発見された。通常停止コドンである、UAAがTyrのコドンに、AAAがLysからAsmのコドンに、AUAがMetからIleに、AGAとAGGが共に、ArgからSerに、UGAが停止からTrpに変異していることがわかった。これらの変異については、tRNA中に生じた変異と、方向性のある突然変異の両方が推進力となっている可能性がある。
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