研究課題/領域番号 |
63480008
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田川 日出夫 鹿児島大学, 教養部, 教授 (90041756)
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研究分担者 |
川窪 伸光 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60204690)
甲山 隆司 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (60178233)
鈴木 英治 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (10128431)
宮内 信文 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70041621)
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60041670)
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キーワード | 照葉樹林 / 表層滑落型崖崩れ / 限界表土層厚 / 萠芽更新 / 森林の回転周期 / 直径分布 / 植生と亜硫酸ガス / ムラサキシキブ |
研究概要 |
下川は主としてしらす地域の斜面において、表層土厚と表層滑落型崖崩れ、植生と表層滑落型崖崩れについて調査を行ない、斜面の傾斜角度によって異なるが、崖崩れを起す限界表層土厚が存在し、これを予測するため、植生指標の有効性について検討した。表層土厚が薄い所では若い植生が多く、臨界に近い60cmの厚さでは極相に近い照葉樹林が存在していた。宮内は土壌学から崩壊の研究をすゝめ、花崗岩の場合、基盤層が変化して表層土になるのに200年で85cmに達することを示した。しらすの場合は風化過程でも一次鉱物に変化はなかったが、花崗岩では、構造の変化がみられた。田川は崩壊を防ぐ萠芽更新型植生としてのマテバシイ林の種子による更新と萠芽による更新との関係を追跡する中で、マテバシイと同属のシリブカガシ林についても調査をすゝめたが、シリブカガシは、あまり萠芽を出さず、実生による再生産が大きな比重を占めていること、及びマテバシイと異なり、人工で作られた森林ではない可能性が高いことを示した。甲山は屋久島の照葉樹林内の各種の樹木の直径分布及び生長の解析を行ない、樹木の直径分布をモデル化し、樹木の死亡と生長との間の関係について、解析をすゝめている。この方法が確立されると、林冠の回転周期の推定について根拠が与えられ、森林の回転周期と、立地条件との関係がはっきりしてくる。鈴木は霧島甑岳周辺に注目し、火山地形、火山噴出物、土壌形成と植生との関係を研究中である。その一つとして、硫黄山からの亜硫酸ガスの流れが、植生遷移の速度を制限している例を示した。尚,上記のガスが土壌にどう影響しているか分析中である。川窪は疎開地に容易に侵入するムラサキシキブ属の種の行動について、特に繁殖との関係について調査を行った。小笠原産のものでは雌花に偽花粉を持ち、媒介者を誘うが、日本列島のものでは見られない。このことが何を意味するか、更に研究をすゝめたい。
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