研究分担者 |
川窪 伸光 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60204690)
甲山 隆司 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (60178233)
鈴木 英治 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (10128431)
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60041670)
宮内 信文 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70041621)
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研究概要 |
今年度は,過去2年間の調査経過を踏まえて,補完的な調査を行うとともに,調査結果の総合的評価を進めた。 花崗岩を基岩とする紫尾山では,崩壊地形・表層土厚と森林植生の関連について調査し,崩壊跡地における植生遷移を表層土の発達と結びつけて整理した,さらに,植生を指標とすることにより,厚い表層土を有する斜面崩壊危険地の予測が可能であることを明らかにした。 南九州の山地に多いマテバシイの純林は,その萌芽更新能によって古くから表層崩壊を防いできた。 この種の堅果からの実生発生は林内では希である。 1990年夏に鹿児島市北方の林内に皆伐試験区を設け,伐根からの萌芽の発生と生長の追跡調査を開始した。 このマテバシイ純林の自然の分布についてもさらに調査を進めた。 モミとツガの表層崩壊のスケ-ルや基質特性との関連について,火山活動の活発な霧島山地と小規模表層崩壊の卓越する屋久島で対比研究を進め,従来の一次遷移の禎点では説明できなかったこの2種の出現を表層の動態と結び付けて説明するモデルを整理しつつある。 照葉樹種の表層動態と関連した種特性を比較的にみるために,屋久島で主要樹種(実生)の根系の形態を調査した。 崩壊地によく出現するヒサカキやミツバツツジは浅根性でよく側方に分枝する根系を持つことが明らかになった。 表層崩壊と対応した植物の種生物学的研究は,ミツバツツジ節の種群に注目して進めた。 南九州では複進雑な分化がみられるこのグル-プの生態は斜面崩壊と結び付けて理解できそうである。 今回,一次解析結果を調査報告書として刊行するが,現在さらに解析を進めており,その成果を遂夙原著論文として内外の専門誌に発表していく。
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