研究課題/領域番号 |
63480009
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 昭治 北海道大学, 理学部, 教授 (10000811)
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研究分担者 |
高田 泰弘 北海道大学, 理学部, 助手 (10163213)
奥山 英登志 北海道大学, 理学部, 助教授 (90125295)
福永 典之 北海道大学, 理学部, 助教授 (30113616)
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キーワード | 不飽和化酵素 / 脂肪酸 / 生合成 / 異性化 / 低温 / 耐冷菌 / 好冷菌 / 温度適応 |
研究概要 |
A、好気、嫌気の不飽和脂肪酸合成経路を持つ耐冷菌<Pseudomonas>___ー Eー3株では、好気経路の脂肪酸不飽和化酵素の存在が必須であるのか研究を行なった。 1)C15:0を唯一の炭素源として培養すると菌体より抽出したリン脂質にはカルボキシル基から9番目に二重結合を持つC15:1,C17:1の不飽和脂肪酸が全不飽和脂肪酸の57%を占めた。 2)嫌気経路の阻害剤(DNAC)を高濃度(1×10^<ー4>M)用いると、細菌の生長は阻害されたが、飽和脂肪酸を加えるとこの阻害は解除された。 3)突然変異誘発剤(NTG)で菌体を処理して、不飽和脂肪酸要求変異株を選抜し三株の変異株を得た。変異株の不飽和化酵素活性は、野性株と比較して著しく低いか、全く検出できなかった。以上の結果脂肪酸不飽和化酵素は、本菌の生育に必須であると結論した。 B、好冷菌<Vibrio>___ー ABEー1株の不飽和脂肪酸を詳細に分析し、二重結合の立体配置シスートランスの異性化が、温度適応現象と密接に関連することを見出した。 1)本菌を生育上限温度近く(20℃)で培養し、脂肪酸組成をキャピラリ-ガスクロマトで分析するとC_<16:1>の異なる分子種が蓄積された。 2)それぞれの分子種を分離し、赤外分析、ガスクロマト一質量分析計で分析すると、シス型とトランス型のC16:1であることが分かった。 3)低温(0℃)で培養した菌体中には、C16:1の分子種は、シス型がほとんどを占めるが、高温(20℃)で培養するとトランス型が12%にまで増加し、その分シス型が減少していた。以上の結果、また、炭素鎖数16の脂肪酸の融点が、飽和〉トランス型不飽和〉シス型不飽和の順に減少する事実から、好冷菌の温度適応現象に重要な意味を持つと結論した。
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