研究課題/領域番号 |
63480011
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
金井 龍二 埼玉大学, 理学部, 教授 (30008817)
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研究分担者 |
大西 純一 埼玉大学, 理学部, 助手 (40143242)
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キーワード | オオムギ / コムギ / C_4植物 / 光合成カルビン回路 / 光呼吸グリコール酸経路 / 酵素活性 / 高酸素適応 / 高酸素耐性突然変異株 |
研究概要 |
現大気中より高濃度の酸素下で植物を生育させたとき、光合成・光呼吸経路の酵素がどのような適応を示すかを探索し、また高酸素下で生育可能な突然変異株を選抜することより、植物に内圧する光呼吸制御の可能性を引き出すのが本研究の究極目標である。 植物材料はC_33種(オオムギ、コムギ、イネ)、C_42種(モロコシ、トウモロコシ)を用い、密閉型植物生育装置内で気相を60-65%O_2CO_2500ppmの高酸素下で約3週間生育させた。対照として光・温度条件は同じで21%O_2CO_2500ppmの通常酸素分圧下(または5%O_2の低酸素下)で植物を生育させ、両植物葉のククロフィル、蛋白量と抽出液の酵素活性を比較した。高酸素下ではクロロフィルは光酸化されて減少するが、この傾向はC_4植物に著しく、トウモロコシでは完全に黄白化した。C_3種のオオムギとコムギでもクロロフィルの減少はあるが、生重量当りの蛋白量に差はなく、高酸素下でもゆっくりと生育した。このように植物の種類により高酸素下の耐性能力に大きな差異が見られ、また、同じ高酸素下でも共存するCO_2分圧により影響に差があることが明らかになった。C_3植物の酵素活性を生重量または蛋白量当りで比較すると、カルビン回路の酵素ではRuBPカルボキシラーゼは差がなく、FuBPホスファターゼ、NADP-GA3Pデヒドロゲナーゼは増加の傾向がみられた。光呼吸素も(カラターゼを除き)やや増加した。なお、低酸素下で生育したC_3種の酵素活性はセリン-ヒドロキシメチルトランスフェラーゼが増加した以外に変動はなかった。突然変異株と取得するために密閉型植物生育装置は、当初計画とは異なり、直射日光を利用するため屋外に新設した。突然変異誘発剤EMS処理したモロコシ種子は農水省に生育を依頼し、種子を収穫した貰ったので、目下、これを上記の生育装置内で発芽させ70-80%の高酸素下で生存するものを選抜しつつある。
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