研究概要 |
1.アスコルビン酸ペルオキシダ-ゼの精製と分子的性質 アスコルビン酸ペルオキシダ-ゼをチャ新葉から精製し、この酵素には2種類のアイソザイムがあること、従来知られているペルオキシダ-ゼと異なり糖鎖をもたないこと、アミノ酸配列が異なることを明らかにした。これらのことからAPXが過酸化水素消去に機能する新しいタイプのペルオキシダ-ゼであることが明らかになった。またhydorxyureaおよびp-aminophenolがこの酵素によって酸化され生成するラジカルがこの酵素を失活させること、すなわちこれらがこの酵素の自殺基質であることを見出し、これらの基質を利用してAPXを特異的に検出する方法を確立した。 2.ス-パ-オキシドジスムタ-ゼの精製と分子的性質 イネ植物体から4種のCuZn-SODと2種のMn-SODアイソザイムを見出した。このうちCuZn-SODの1分子種は、単量体で活性をもつ、これまでに例のないものであった。またCuZn-SODのうち、主に葉で発現されるアイソザイム(CuZn-SOD I)と非光合成組織で発現されるもの(CuZn-SOD II,III,IV)とは免疫学的に異なっていた。 シダおよび緑藻からそれぞれ3種のCuZn-SODを見出し、その一部を精製または部分精製した。これらの酵素は、被子植物、ほ乳類の酵素と類似した分子的性質をもつことが明らかになった。3種のアイソザイムは免疫学的にクロロプラスト型とサイトソル型に分けられた。このことはクロロプラスト型とサイトソル型の分子進化上の分岐点がきわめて早い時期であったことを示唆する。
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