研究概要 |
本研究を通じて得られた最近の研究成果は,研究成果報告書に付した約60頁にわたる論集「微化石のバイオメトリ-」に収録してあるが,以下にその概要を分類群ごとに述べる。 有孔虫:Pseudononion japonicumは形態変異が大きく,その分類学的位置づけに疑問があり,そのため同種と近縁種P.tredecumとを形態計測学的に比較研究した。この結果、両者は同一タクソンに属し,殻にみられる差異は地理的な意義を示すにすぎないことを明らかにした。 貝形虫:Baffinicythere3種を形態計測学的に比較研究した結果,化石記録上最古のB.sp.2は殻サイズが小さく,残る2種の相対成長様式を詳細に調べた結果,B.sp.1は幼生時から殻サイズは大きく,B.sp.3は成長率が大きいことが明らかとなり,外形のフ-リエ解析の結果と併せ考えると,本属内でサイズについての選択のあったことが示唆され,B.sp.2との対応で,少なくともB.sp.1はperamorphosisを示すことが明らかとなった。 珪藻:種レベルでの分類がDenticulopsis dimorphaとその近縁種について,それらのバンド(中間帯片またはcopulaとも呼ばれる)の長さと幅を計測し,併せて室数を調べた。この結果からバンドのサイズの地理的変化とその意義を明らかにした。さらに,バンドを微細構造に基づき9タイプに分け,それらの層位学的分布を示すとともに,大部分のタイプが在来のタクサと1:1に対応することを明らかにした。対応するタクサをもたない3タイプについては,詳細な分類学的検討の必要性が指敵される。
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