研究課題/領域番号 |
63480030
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武岡 洋治 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70023455)
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研究分担者 |
和田 富吉 名古屋大学, 農学部, 助手 (20158702)
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キーワード | 水稲小穂 / 生殖器官 / 形態形成 / 走査型電子顕微鏡 / 窒素追肥 / ジベレリン / 雄性不稔剤 / 水稲青立症(Straighthead) |
研究概要 |
(1)水稲における幼穂と小穂の発達過程を走査型電子顕鐘鏡(SEM)で観察し、これらの器官形成と内部構造の発達を立体的に明らかにした。(2)水稲青立症(Straighthead)の発生し易い土壌と品種種子を四国農試より譲り受け、名古屋における青立貫生化小穂の再現条件を検討した。これと並行して、四国農試において誘発された青立小穂のSEM観察を行い、小穂反復型貫生体が多数発生していることを見出した。(3)水稲の高温処理条件下での栽培において、冷水温や半数体・突然変異体の場合と同様に雌性器官を多発する雌性化現象を認めた。(4)雄性不稔剤HGR-626の処理条件下における生殖器官の変化をSEMで観察し、雄ずいと雌ずいとでその形態の様子が異なることを明らかにした。雄ずいの葯壁組織と花粉の形成阻害には花粉母細胞やタペート層の形成そのものが阻害される場合から、花粉外殼の形成や花粉内容物の集積異常に至るまで、その程度は多岐にわたっており、また、雌ずいは雄ずいとは対照的に器官を増殖させ単為結果様の子房を発達させた。(5)異なる窒素追肥条件下における水稲小穂の器官形成におよぼすジベレリンの影響を調べ、この植物生長調節物質による奇形の発現が窒素追肥により促進され、雌性化を進めることを再確認した。これとともに、不稔の発生はむしろ軽減されることを認めた。(6)トウジンビエとネピアグラスにおける穂上位置による穎花器官構成の差異を調べ、穂の基部において有性小花をもつ穎花群を多発していることを明らかにした。(7)イネの近縁野生種における葯の外壁構造をSEMを用いて比較観察し、クチクラひだ状構造に種間差異を認め、とくに栽培種の直接の祖先種においてこの構造がよく発達していることを見出した。(8)微小な穎花を連続的に接写するための写真撮影装置を組み立て、この装置を用いて穎の開閉速度、花糸の伸長速度ならびに葯の裂開時期を調査して、イネの開花過程の経時的解析を行なった。
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