ニホンナシの施設栽培では、開花後わずか30日程度しかビニルの下で育っていないが、葉は広く、薄く、同化能力が弱り、梅雨の曇天で日照不足になると落葉し易くなる。とくにこの時期に新梢が多く伸びている状態で過繁茂になったりすると落葉する。そこで核果類とくにモモの披覆下栽培を行っている長野県、山梨県で実態調査を行った。落葉の時期は露地に比べ、若干早い傾向はあるが、翌年の花芽形成芽には何ら被覆による悪い影響がみられないことが明らかとなった。オウトウで着色をよくする為の収穫前摘葉が翌年の花芽形成に及ぼす影響は調査中である。 新梢の成育ステージによる葉と新梢上の芽との関係を明らかにするため、新梢伸長停止時と二次伸長がみられなくなった時期に、新梢から葉を除去した。新梢上の芽は休眠状態である程度浅いと、摘葉によって頂葉の発芽を促進したが、ある程度休眠状態が深くなると、頂葉の発芽を促進できないと推察された。摘葉+摘入処理は摘入処理に対してえき芽の発芽率を高くし、またその発芽時期を早めたことから、摘葉処理は頂部優勢を解除する働き、及びその時期を早める働きがあると推察された。 摘葉処理によるこの頂部優勢からの解除ならびに発芽時期を早めることがみられる芽での、内生生長調節物質の内、サイトカイニンのゼアチンリボサイド(ZR)の消長をみた。将来発芽のみられる部位でのZR含量がいずれも上昇し、摘葉による葉の除去と伝う人為的操作による落葉で新梢上の芽のサイトカイニン活性が高くなり発芽、新梢の生長を制御する生長調節物質間の均衡に変化を生じることが伺われた。 鉢植リンゴ樹で、自然落葉期前の気温低下が始まる時期に、昼夜温25-15℃、15-10℃に移し成育させた場合、昼・夜温の高い樹での落葉開始は昼・夜温の低い樹での落葉開始よりかなり遅れた。これらの新梢上の芽の内生生長調節物質の分析は現在進行中である。
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