研究概要 |
落葉を人為的に摘葉や休眠打破剤(hydrogen cyanamide)で行うことによる落葉処理を7月中旬〜10月中旬迄1か月ごとに行った。リンゴ品種ふじの新梢での頂芽,腋芽の発芽反応を観察しながら、処理24,48時間,1週間後における芽のポリアミン含量を測定し,発芽と落葉との関係を検討した。7月中旬の落葉処理で,摘葉処理では頂芽のみが発芽し,hydrogen cyanamide処理では頂芽が枯死し,腋芽は基部近くまで発芽した。無処理では頂芽も腋芽も全く発芽しなかった。8月中旬の落葉処理ではhydrogen cyanamide処理で頂芽のみが発芽し,摘葉のみの処理,無処理では頂芽も腋芽も全く発芽しなかった。9月中旬の落葉処理では,hydrogen cyanamide処理で頂芽を除いて新梢の上部から基部にかけてのどの部位からも腋芽の発芽がみられた。また,花芽も発芽した.しかし,摘葉のみの処理と無処理では頂芽も腋芽も全く発芽しなかった。10月の落葉処理では,摘葉処理,hydrogen cyanamide処理,無処理とも全く発芽がみられなかった。 落葉処理によって後から発芽のみられた処理と無処理とでの,頂芽および腋芽におけるポリアミン含量について検討した.摘葉で葉を除去したり,hydrogen cyanamideで葉身を枯死させた処理では,処理してから48時間以内にポリアミン含量の増大がみられ,1週間後には元の状態に戻った.一方,無処理ではこのようなポリアミン含量の変化はみられなかった.スペルミジンとスペルミン含量の変化が顕著であって,これらは先の報告でみた落葉処理で発芽した芽のZR含量の変化の引き金としてポリアミン含量とくにスペルミジンとスペルミンが関与していることを示唆していると推察された。
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